【実務歴15年】勤務社労士のメリットや実情|登録から活かし方や将来性を徹底解説!
- 勤務社労士のメリット
- 勤務社労士の実務事情
- 企業と事務所との違い
社労士試験に合格したからと言って、誰もが独立(開業)していくわけではありません。有資格者全体の20~30%は勤務社労士として働いています。
そもそも収入が不安定になりかねない開業社労士になることを考えていない人も多いです。筆者もその一人で、15年間勤務社労士として企業の総務部で働いています。
勤務社労士は、安定した収入で精神的に安心してスキルを磨くことができるのがメリットです。
この記事を読んでいる人は、すでに資格を有している又はほぼ合格に近い人で今後どう活かそうか迷っている方だと思います。
この記事を読めば、勤務社労士の実情をおおむね理解できるはずです。
勤務社労士のメリットや活かし方を紹介していくよ
勤務社労士の【メリット】
まずは、勤務社労士としてのメリットを解説していきます。
士業系である社会保険労務士は独立して働くイメージが強いですが、勤務社労士であるからこそのメリットも多いです。
- 安定した収入で
- 評価される機会が多く
- 経験をもとに副業でも活かせる
勤務社労士は会社での一社員でしかいないですが、自発的に活かすことでメリットがあります。
勤務社労士を軸にスキルを高めて他でも活かす!
安定した『収入』
勤務社労士の最大のメリットが『安定した収入』です。
バラつきはありますが、男性女性問わず収入が安定しやすいのが勤務社労士です。実務経験を積むことで、平均年収以上は狙えます。
- 大企業
- 中小企業
- 社労士事務所
大企業の場合は、着実に実務経験をつむことで年収600万円以上も可能です。筆者は中小企業の勤務社労士ですが、年収450~500万になります。(最近ちょっと上がった)
社労士事務所は、働く目的(お金より経験など)によってバラつきがありますがある一定の収入は確保できます。
- 安定した収入
- マイペースにスキルUP
- 開業に向けた準備がしやすい
家族がいる勤務社労士の場合は、安定した収入をもとにスキルアップが望める環境は精神的にも助かります。
一方、開業社労士の場合は!
開業社労士は、軌道に乗るまで貯蓄やアルバイトが必要になってきます。さらにその先も継続した営業活動が必要です。
大雑把ですが、勤務社労士は継続的に安定して資格を活かせる環境といっていいでしょう。
勤務社労士で長期的にスキルアッププランを建てよう!
評価『チャンス』
勤務社労士は、評価されるチャンスが多いのが特長です。
勤務社労士だからこそできるアピールがあります。
- 法改正対応
- 評価制度の改善
- 人材教育で生産性向上
これらはアウトソーシングで開業社労士に助言してもらうことも出来ます。しかし、内情を知り尽くす勤務社労士だからこそできる改善もあるんです。
筆者も勤務社労士として、着実にスキルアップして対策や改善に活かして信頼を積み上げています。
アピールポイントが多いのも勤務社労士!
副業で『活かせる』
さらに勤務社労士は、知識・経験をもとに副業でも活かすことができます。
社労士の知識は、生活・労働と身近なものなので潜在的に情報を求める人は非常に多いです。
勤務社労士の副業
とくに始めやすいのが、社労士ブログです。(根気も必要だけど勉強にも繋がる)
筆者も、副業として社労士・犬ブログの2つを運営しています。継続的にブログを続けることで、月5~10万円の収益も十分可能です。(筆者は月2~3万円程度)
- ブログに広告を載せる
- おすすめの教材を紹介
- アフィリエイト
主に開業社労士の経験を記事にまとめられた書籍ですが、資格の活かし方の参考になります
『社労士仕事カタログ』を気になって上記のリンクから購入してもらうと、収益が発生します。
安定した勤務社労士をしながら知識を蓄えて情報発信することで、副業に繋げることが可能です。
副業のつもりが、つい踏み込みすぎると問題が発生します。
社会保険労務士法第16条の2
勤務社会保険労務士は、その勤務する事業所において従事する第2条に規定する事務の適正かつ円滑な処理に努めなければならない。
引用:社会保険労務士法e-Gov法令検索
有償・無償問わず社労士業務を引き受けることはできないので注意してください。
あくまでも情報発信にとどめてスキルアップにつなげよう!
開業社労士の副業
なかには企業で働きながら開業登録をしている社労士もいます。開業登録することで多様な働き方ができるのも社労士の特長です。
- 無料相談会
- 行政機関のアルバイト
開業登録した社労士が優先されますが、研修に積極的に参加して人脈を作ることで勤務登録の人でも参加できることあります。
だいたい1日5~6時間程度で2万円くらいの収入になるものが多く、割のいいアルバイトです。
副業を推奨している企業であれば、勤務社労士ではなく開業登録して積極的に参加することで経験も積めるメリットがあります。
副業は自己学習も自然とできるのでおすすめ!
ちなみにこれがアフィリエイト
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勤務社労士の【業務】
勤務も開業も社労士がやることに大きな違いはないですが、収入UPのために業務内容を理解しておきましょう
1・2号業務は社労士の独占業務になりますが、いくらそこを磨いても勤務社労士はあまり評価してもらえません。
- 申請書の提出代行
- 帳簿書類の作成
- コンサルティング
社労士知識を向上させ、3号業務(コンサル等)ができるようにスキルの積み上げをしていきましょう。
社労士はスキルをあげてなんぼの資格!
1・2号業務
企業の場合、社労士でなくてもできるのが1・2号業務です。
- 雇用、社会保険の手続き
- 助成金の申請
- 就業規則作成
- 賃金台帳作成
従業員であれば誰がやってもいい手続きですが、勤務社労士がやるからこその利点があります。
とくに雇用保険の手続きは手間がかかるのですが、勤務社労士が行うと添付書類を省略できたり行政機関とのやりとりがすんなり進みやすいです。
企業は書類省略ができることを知らないこともあるので、勤務社労士としてしっかりアピールしときましょう。
1・2号業務は社労士として必須の実務!
3号業務
勤務社労士が、社内で評価されるために必須なのが【3号業務】です。(独占業務ではない)
3号業務は、簡単に言えば『コンサルティング』です。
- 採用コンサル
- 就業規則の改訂
- 労働環境の改善
- 福利厚生の提案
- 評価制度の作成
勤務社労士として言わせてもらうと、やることはかなりあります。『どっから手をつければいいんだ』と思うほど大変です。
だからこそ勤務社労士の評価チャンスでもあります。
企業からしたら、3号業務を活かしていかに改善を行えるかを求めます。手続き程度であれば、はっきりいって資格なんていりません。
勤務社労士として優秀な社員はこんな感じです
- 社員の教育をして
- 労働環境を改善する
- 助成金の条件をクリアする
とくに①が重要で、令和時代になっても『嘘だろ?』と思うパワハラ・モラハラ・セクハラ思考の社員は存在します。
社労士の知識をしっかり共有することで、社内の労働環境改善につながるので地道な作業ですがかなり重要であり評価されるポイントです。
また社員教育や労働環境改善は助成金の対象になることが多いので、条件をクリアして申請することが勤務社労士のだいごみになってきます。
社員教育と助成金セットで評価につながるよ!
【2パターン】の勤務社労士
勤務社労士には2パターンあることも理解しておきましょう。将来どうしたいかで選択も変わってきます。
行うことは基本的に変わらないですが、社労士業務を事業とするかしないかの大きな違いがあります。
- 企 業=社内業務
- 事務所=サービス
この差は、今後の社労士人生に多少なりともズレがでるので自分のキャリアをどう考えるかでしっかり判断しましょう。
自分がどっちのタイプか将来に向けて判断しよう!
『企業系』勤務社労士
筆者は、企業系の勤務社労士として実務を15年ほど経験しています。
とくに中小企業はあらゆる業務の1つとして社労士業務を任されることが多いです。筆者も、社労士業務を行っていますが、肩書は『経理課長』になります。
毎月のお金の流れを仕訳・管理しながら、750名の社員対応を行うので大抵のことは身についてきました。
- 収入は事務所より高い傾向
- 経営は事務所より安定傾向
- 残業時間は事務所より少な目
一概に全ての企業がそうというわけでないですが、キャッシュフローも安定傾向にあります。
企業で勤務社労士が行う仕事はあくまでも社内業務であり、収益を別で得ている点が大きいです。なお、社員数も少数精鋭で行う事務所より多いのでサポート力があるのもメリットです。
安定した収入が魅力の勤務社労士ですが、一方でその安心感から成長速度が事務所より遅くなる傾向があります。(ホント自分次第)
社労士業務を生業とする事務所とは、スキルの成長率は雲泥の差と言っていいでしょう。
企業の勤務社労士は安定!だけど成長プランは自分で!
『事務所系』勤務社労士
漠然と独立を意識しているのなら、事務所系の勤務社労士になったほうがメリットもあります。
勤務社労士とはいえ、事務所は複数の企業の手続きやコンサルティングを行うので経験値を早く積めます。
- 複数の企業を受け持つ
- 様々な業種に関われる
- 多岐にわたる経験が積める
事務所系の勤務社労士の経験は、将来独立を検討している場合に大きなメリットになります。
社労士事務所は、企業ほど体力があるわけではないので給与は低めで労働時間も長めです。その結果、社労士事務所はブラック気味な表現をされることも多々あります。
ただ勘違いしないで欲しいのが、社労士事務所は待遇面より経験を求める人にとってはありがたい環境です。(成長速度は間違いなく企業より早い!)
なので安定した給与・独立する気がない勤務社労士にとって、事務所はブラックとまでいかないにしても不満に感じるかもしれません。
給与も大事だけど経験優先なら事務所系社労士の方がメリット!
勤務社労士の【登録メリット】
『そもそも勤務社労士として登録する必要があるのか?』
ご存じのとおり、社労士として名乗っていいのは会員登録している人だけです。会員登録していない場合は、名刺に『社会保険労務士有資格者』と表記する必要があります。
筆者も社労士試験に合格してから3年くらいは登録してませんでしたが、有資格者という文言がなんだか初心者感まる出しな気がして会社に交渉しました。
勤務社労士登録をする利点を伝えれば、今どきのクリーンを目指す会社はすんなりOKしてくれるはずです。
負担してくれない会社は転職を検討レベル!
登録の『必要性』
『社労士会への登録は必須です』ってくらい大事です。
社労士の会員登録をすることで、名刺を渡した際も信用度や説得力も高まりある一定の効果もあります。
有資格者でも問題ないですが、社労士を名乗ることで責任感が増すのがメリットです。
- 研修会がある
- 人脈作りが段違い
- 定期的に情報が届く
- 社労士交流会がある
資格を活かすためには定期的に新しい情報を得る必要があり、正確な情報を手っ取り早く得るために社労士会に登録することをおすすめします。
そして何より、社労士会に所属する最大のメリットは『人脈作り』です。筆者は初めて研修~飲み会に参加した際に、一気に30人の社労士と名刺交換しました。
これはあくまでも勤務社労士側の間隔ですが、独立している先生たちとはどうしても大きな壁を感じます。(独立しているかしていないかで)
最初に壁を感じてしまうと、勤務社労士として幽霊会員になる人も多いです。
でも、実際はそんなことはなく定期的に研修に参加したりイベントに積極的することで繋がりも出来ていきます。(埼玉はソフトボールやボウリングなど)
『定期的な研修→人脈作り』
とくにイベントは仲良くなりやすい!
社労士の『登録料』
都道府県によって多少ことなりますが、登録料についても解説していきます。
入会時の費用
登 録 税 | 30,000円 |
登録手数料 | 30,000円 |
入 会 金 | 40,000円 |
社労士会に所属するためには、最初10万円程度の費用が必要になります。個人負担と考えると大きいですが、社労士会に所属するメリットを会社に伝えて経費で対応してもらいましょう。
年間の費用
年間費 | 60,000円 |
勤務社労士の年間費はそこまで高くないので継続して会社に負担してもらう交渉をしましょう。
入会時以降はそこまで費用負担はないのがメリット
【未経験】で勤務社労士になる
『血のにじむ努力をして社労士試験に合格!』、、、ですが、実務未経験の場合は資格を活かすために別の労力が必要になります。
ですが、安心してください。
あの非情な社労士試験を乗り切ったあなたなら、簡単に乗り切れるはずです。
ちなみに筆者は実務どころか社会人経験もない社労士でした。(大学卒業時に取得)
それでも勤務社労士としてなんとか食っています。
- 人事異動
- 転職活動
- 事務指定講習
せっかく取得した社労士資格をしっかり活かしていきましょう。
焦らずキャリアアップしていこう!
現在の会社で『異動』
心機一転で転職って前に、まずは在籍している会社で人事異動を希望してみましょう。
社労士業務は、大まかに言えばどの業界でもやるべき基本は変わりません。
資格取得後は気持ちが多きくなりがちで『こんな会社辞めてやる』となりやすいですが、まずは実務経験を積むことを最優先にしましょう。
- 焦らず基礎固め
- やりたい方向性を定める
- 実務の有無で転職のしやすさが違う
年々コンプライアンスが重要視される時代に、社内に社労士がいるのに活かさない手はありません。すぐとは言わなくとも、比較的希望は通る時代になっています。
筆者もビルメンテナンスの会社に勤めていますが、1年の現場経験後は総務へ人事異動となりました。(資格の価値を実感した瞬間でした)
まずは社労士として実務経験を優先に!
転職活動で『情報収集』
理想は、資格を取得して働いている会社の総務・人事に異動できることです。ですが、すんなり総務人事の席が空くわけではありません。
筆者も転職する気はそこまでないですが、2社に登録して常に社労士求人情報をチェックしています。(3社以上はメールがうっとおしい)
- 定期的に情報が届く
- 社労士相場がわかる
- リクルーターからもメッセージが届く
社労士資格は求人サイトでは効果的でリクルーターからもメッセージが届きます。自分1人で求人を探すよりも効率的な転職活動が可能です。
ちなみに、筆者が登録している1社が【MS-Japan】です。(あとはビズリーチやリクナビあたりがおすすめ)
経理財務・人事総務・法務の求人・転職なら|管理部門特化型エージェントNo.1【MS-Japan】
未経験でも可能な求人に出会うには常にアンテナ!
実務経験がない場合は別記事でどうぞ
焦るなら『事務指定講習』
『社内異動も転職活動も難しい』でも気持ちは焦る!
そんな時は、事務指定講習を受講するのも手です。
そもそも勤務社労士になるには条件があるのはご存じかと思います。
実務未経験者が、どちらかの条件をクリアするためは時間もしくは費用が必要です。
筆者も未経験でしたが、2年間の実務を選択して勤務社労士として登録しました。とにかくスピード感もって人は、『事務指定講習』を受けるメリットがでてきます。
受講内容
通信指導 | 4ヶ月 |
面接指導 | 4日間 |
2年間の実務はマイペースに進められるんですが、事務指定講習はSNSなんかで見てるとだいぶ大学のレポート感があって仕事と同時進行はけっこう大変そうに感じます。
でも実際は、社労士実務に触れている楽しさも感じてるんだろうなってコメントが多いです。
費 用
受講料 | 77,000円 |
事務指定講習の費用はけっこう高いので、ダメ元で会社負担でいけないか交渉してみましょう。もし負担してくれるなら相当いい会社なのでそこで実務も積むことをおすすめします。
とりあえず1・2年は修行期間!
勤務社労士の【将来性】
ここからは筆者の私見がだいぶ入ってくる要素ですが、勤務社労士としての将来性を考えてみました。
会社からしたら勤務社労士をおくメリットは内情を知ったうえで改善をしてくれることです。
社労士試験で学んだことは、あくまでも基礎でありそれだけで改善できるのか?
答えは圧倒的なNOで、なんならなんの役にも立ちません。(ネットで調べれば済む話)
大事なのは、その基礎知識を活かして何ができるかです。その+αを積み上げないと社労士としての将来性は薄まります。
偉そうなこと言ってるけど日々必死に考えてるってこと!
多角的な『勤務社労士』
勤務社労士は、一企業に属すため実務スキルがどうしてもその業界に偏ります。
しかも、ルーティン業務ばかりしていると勤務社労士であることをつい忘れがちです。
ようは、『情報収集』です。
勤務社労士は自ら情報取集をしていかないと、頭1つ抜きでた活躍はできません。常に先を見据えた行動が必要です。
そのためにはとにかく行動(情報)あるのみです。
- 研修会に参加
- 副業で他業種を経験
- その経験を双方で活かす
副業が当たり前になりつつあるので、1つの企業にこだわる必要はありません。ちなみに副業はリンクしやすい業界を意識することで相乗効果もうまれてきます。
社労士資格のメリットをフル活用するつもりで!
社労士として『特色』
社労士の資格を持っているだけでは、『人より知識を持っているだけ』です。
それでは、社内での評価・転職・副業でもフルに社労士資格を活かすことができません。
社労士として自分に付加価値をつけていかないと、実務面ではAI機能などに負けてしまう時代がきます。
筆者の場合、その付加価値は『社労士ブログ』です。社労士ブロガーとして日々地道に積み上げています。
- 教育に特化
- 英語力を活かす
- SNSで情報発信
- 社労士YouTuber
とにかく何でもいいんです。自分にあったベクトルをしっかり持って社労士+αな努力が必須になります。
長期的な努力が重要!
勤務社労士の【実情まとめ】
勤務社労士の実情をまとめてきました。
- 安定して収入を得る
- 副業で資格を活かす
- 企業と事務所は違う
- 企業は自分次第で成長
- 事務所は成長が早い傾向
- 今後のキャリアプランで企業か事務所を選択
筆者は、家族背負ってるし安定した収入で働ける勤務社労士が性に合っています。と言っても、いつ転職や開業とそんな気持ちになるかもわかりません。
そんなときに『日々努力していてよかった』と過去の自分に感謝してもらえるように勤務社労士として精進しています。
でもそれはとても簡単なことです。
すでにここまで読んだあなたは社労士試験に合格(目指して努力)したとき(している)、過去の自分に感謝した成功体験があるんですから。