(※更新日 2021/05/05)
ども、社労士しゅん太郎です。
あなたは、正社員?契約?はたまたアルバイト?パート?
これらを総称して【雇用形態】というのですが、実は労基法に正社員やパートなんて用語はないんです。
とはいえ、待遇や働き方で線引きが必要なので正社員や契約、アルバイトと線引きをしています。
でも、いったいその違いって?
- 正社員と契約の違い
- 無期雇用になれる申込権
- 無期雇用と正社員の違い
もしかしたらあなたの働き方は正社員と同じかもしれません。
逆に、正社員だったとおもったら有期契約だったってこともあり得ます。
社労士が教える正社員と契約の違い!
学生や他に生活の軸がある人以外は、正社員であるにこしたことはありません。
そもそも、正社員や有期契約の違いってなんなの?
雇用形態の基準っていったいどんなものかをまずは把握しましょう。

違いがあいまいで、トラブルになりやすいのが正社員と契約社員です。
社労士が教える正社員
まず、その【正社員】の定義から見ていきましょう。
3つの条件がそろうことで、正社員になります。
- 期間の定めがない
- 直接雇用されている
- フルタイムで働いている
正社員である一番の安心材料が、『期間の定めがない』ということです。
- 定年まで働ける
- 退職も自分で判断
あくまでも原則的な話ですが、自ら退職や問題を起こさない限りは定年まで働けるのが正社員です。
大半の労働者は、【直接雇用】の条件は満たしているはずです。
反対用語になる間接雇用は、唯一派遣社員が当てはまります。
とはいえ、派遣社員も人材会社に直接雇用されているので雇用契約の内容によっては正社員になる要素は十分あります。
所定労働時間を働くことで、フルタイムとなります。
大半の会社は、始業終業の時刻が違っても1週間40hが一般的な所定労働時間です。
例えば、40hに満たない働きをする人はパートやフリーターに該当してきます。
※所定労働時間
法定労働時間を超えない範囲で、会社が定めた労働時間のこと。ちなみに法定労働時間は、1日8h・一週間40hと決まっています。
3つの条件で分かる通り、契約期間があるかないかの違いだけで正社員と有期の区別は見た目ではわかりにくいんです。
結果、正社員と契約の違いによってトラブルが起きやすくなっています。
じつはパート・フリーターの雇用形態だとそこまで大きなトラブルには発展しません。
- 育児や介護のあいま
- 学生で学業のあいま
- そもそも正社員で働きたくない
このような
ケースがあるので、働く側も割り切っているところもあり会社とバランスがとりやすいんです。問題なのは、見た目ではわかりにくい正社員と契約社員のケースです。
社労士が教える契約社員
では正規と比較される【契約社員】の違いていったいなんだろう?
- 有期契約あるいは曖昧
- 直接又は間接雇用されている
- 期間満了後は自動更新
フルタイムかどうかは会社によると思いますが、契約社員もほぼ近いものではないでしょうか?
大半の会社は6か月若しくは1年の契約を交わすことが一般的です。
なかには、期間を定めていないのに契約社員として働かせている会社もあります。
その場合は、無期契約になり正社員の条件を満たしているケースも。
- 契約期間の確認
- 契約更新を何回したか確認
- 何年働いているか確認
つまり人材派遣も含め全ての契約社員が対象です。
派遣社員であっても、長期間自動更新で働く場合は契約社員同様の扱いになります。
派遣元(直接雇用)の『派遣社員だから~』のうたい文句は通用しません。
よくあるのが『更新することがある』といった文言が含まれた契約を交わして、なんだかんだ自動更新ってのが一般的です。
にもかかわらず、、、期間満了だからと急に契約終了を告げられる。
そんな労働環境を、会社そして大半の労働者もなんだかんだ良しとしてしまっています。
契約社員だからと、労働者自身が割り切った働き方をする人が多くいます。
- 定年後だから気楽に働く
- 副業でメインは他にある
- 責任にとらわれたくない
このような
理由で、割り切っているのであれば問題ありません。でも生活の軸になっている仕事が契約社員なら、先々のためにも法律を知っておきましょう。
契約社員は5年で無期雇用
5年間同一の会社で働くことで、正社員の条件でもある無期雇用を満たすことになります。
じゃ、自分は5年以上契約社員だから無期雇用だって思った人は少し違います。
契約社員に無期雇用申込権
契約社員の雇用の安定を図るために、設けられたのが『無期雇用申込権』です。
- 契約期間が通算5年
- 契約社員が会社に申込む
- 会社は断ることはできない
生活の軸を安定することができるので、契約社員の人にとってかなり助かる制度です。
ただし、通算期間5年で権利が発生するだけで無期雇用になれるわけではありません。
契約社員が申込んで、初めて無期雇用に転換されます。
はっきりいって、『会社側から無期雇用にならない?』なんてことにはなりません。
契約社員である期間が5年過ぎても無期転換を申込む人はまだまだ少ないのが現状です。
5年で無期雇用にはならない
ホント、日本語って複雑だなと感じるポイントです。
つまり、6年目で会社に無期転換の申込ができるということです。
いまいちピンとこないので図解で見ていきましょう。
契約期間が1年更新の場合

この図解からわかるとおり、満6年間は契約社員のままで7年目から無期雇用になります。
肝心なのは契約社員の期間が通算して5年をすぎればいつでも申込めるということです。
権利は退職しない限り消滅しないので、やめる気ないなら申込んで損はありません。
契約社員であることに明確な理由があればいいですが、そうでないなら申し込みましょう。
無期雇用と正社員の違い
『無期雇用だから正社員だ』と手放しで安心できるわけではありません。
5年ルールと同じで、日本語は本当にややこしくて勘違いしがちです。
では、無期雇用と正社員はなにが違うのか?
契約社員→無期→正規
まず、これまでの違いを整理しましょう。
- 契約社員
- 無期雇用
- 正社員
パワーバランス的には
このような形です。『無期雇用=正社員』と言いたくなりますが、法律通りに解釈すればそうではありません。
会社は無期と正社員を線引き
本来なら無期転換によって、前述した【期間の定めがない】正社員の条件をクリアします。
でも、そうならないには理由があります。
- 不用意に正社員を雇えない
- 賞与や退職金の経費が上がる
- 正社員よりシステム化が進む
会社の本音としては、不用意に正社員にしたくないのが正直なところです。
とはいえ、正社員と無期雇用の区別を明確にできている会社は多くありません。
同一賃金同一労働の観点からも、線引きは非常に難しいです。
生活のための労働なので、長年働いている会社で無期雇用にならない理由はありません。
5年の条件を満たすのであれば、堂々と無期雇用転換の申込をすることをおすすめします。